工芸作家二人展

第6回目『KUNISAKI City Hall Gallery』は、2025年2月26日(水)~3月21日(金)の期間、国見町向田在住・重光哲雄さんの竹工芸と、武蔵町在住・一方斎綾部敦さんの陶芸の展示を開催します。

重光さんの工房は、孟宗竹、淡竹(はちく)、真竹の竹林に囲まれ、自ら山に入り、竹を採取します。

採ってきたら、油抜きをし(割れるのを防ぐ為)、2年から5年ほど寝かせてから使います。

竹を見極めて適した部分を選び、茶道具から生活に使える器まで、様々な用途に応じた作品を作ります。

■国東の竹について■
国東は岩の土地なので育ちにくく、時間をかけてやっと育ちます。曲がったりシミのような模様があったりと、扱いにくいけれど、個性的で面白味があるそうです。

重光さんの竹工芸は、竹ひごを使って編む工芸ではなく、竹の塊そのものを使用します。器の底面は竹の節であったりと、自然の造形を生かし、その造形のままに作ることは、自分で思うように作るのとは違った難しさがあります。

■漆について■
透明の拭き漆や、黒、赤、朱、ベージュなどの顔料を混ぜた漆を施したものもあります。

赤い漆に箔を重ねたもの。内側は黒い漆。

竹の表皮を削って漆を塗ります。こちらは12回塗り重ねました。

何時間もかけて掘った根っこを使用。髭のように生えている根をカットしています。

綾部さんは、楽焼茶碗を専門に作る陶芸家です。

楽茶碗は、楽家の長次郎が千利休の要請によって作ったのが始まりです。手びねり(轆轤(ろくろ)を使わず手で成型する)で、色は黒と赤のみ、そして軽いことが特徴です。

■綾部さんが楽茶碗の作る理由■
綾部さんは生まれが杵築で、杵築の殿様が桜を愛でるために楽茶碗を作らせ、その茶碗を扱っていた方が綾部さんの祖先にいらっしゃるそうです。

■黒と赤の色について■
800~850度の低温で焼きます。黒は、土に酸化金属を5種類ほど混ぜており、焼いていた窯から出して水に入れて急冷すると、黒くなります。赤はベンガラを練り込み、鉄分を混入させた土を焼くと赤さびになって赤くなります。表面にかかっている黄金色は黄土です。

■土について■
信楽の蛙目(がいろめ)粘土に、山や田んぼなどの地元の土を混ぜているそうです。岩を削ったものは粘っこくないので、混ぜると焼いた後縮みにくいそうです。

■窯について■
灯油窯を使って焼き、次に釉(うわぐすり)をかけて電気炉で焼きます。電気炉は、綾部さんの手作りだそうです。30×30cmの物なので、1点ずつ焼き上げます。

一部非売品ですが、販売しています(現金対応のみ)。写真では、そのものの色や質感はなかなか表せません。ぜひ直接ご覧いただきたいです。お気軽にお越しください。お待ちしています。

プロフィール

竹工房 一会庵
重光 哲雄(Shigemitsu Tetsuo)さん
1943年 国東市国見町向田生まれ
1965年 製薬会社(現GSK)勤務
1985年 当業界を退き、竹工芸(師 綾部経雲斉)、書芸の道に入る。
静岡県韮山町(現伊豆の国市)に竹工房開設。
1993年 千葉県野田市に移住し、竹工房「一会庵」開設。同時に、東京、埼玉、千葉にて書道教室開設。
美術団体「アートギャラリー四季」「馬酔木工芸」等に所属し、新宿小田急デパート等百貨店、画廊等で個展を重ねる。
2007年 家事都合により、生家国見町に戻り、竹工房「一会庵」、書道教室「馬酔木」を開設し、現在に至る。
陶芸
一方斎 綾部 敦(Ippousai Ayabe Atsushi)さん
1953年 6月 大分県国東郡(当時)武蔵町狭間で誕生
1980年 大分市賀来の楽焼作家・二宮眉雪に師事
1999年 武蔵町議に当選かたわら歴史小説を創作「自由の彼方へ」を上梓
2010年 市議をやめ、陶芸に専心し、楽焼茶碗に挑む。
現在 日本ペンクラブ会員としての創作も継続